朝起きると、外は雨だった。いつも通り、職場へ行く。俺は支度をして、玄関から二階へと続く吹き抜けの階段の端っこに置いた車のキーを手に取った。口には昨晩コンビニで買っておいたバランス栄養食品のクッキーが挟まれている。それにしても、なんてところに俺は働きに出ているのだろう。俺の住む郊外から車で更に地方へ3時間。俺が働きに出ているのは、ド田舎の村の谷底にある店だ。29歳のフリーター男が働きに出ているのは、もはや救いようのないほどに交通の便が悪い辺鄙な田舎にある’店’。そんなところにある店が営業していけるのには、たった一つだけの理由があった。◇文字数は約2400文字です。